チラシで「坪内逍遥訳Xミュージカル」の文言に惹かれて食指を動かされたが、この劇団「イッツフォーリーズ」については今回の公演で初めて知った。
いろいろ調べてみると、この劇団「イッツフォーリーズ」(It's Follies)は、昭和52年(1977年)、作曲家のいずみたくがミュージカルを専門に上演する劇団として創立したとある。
Folliesは英和辞典で調べてみると、演劇用語として「グラマーな女優・豪華な衣装などが売り物のミュージカル・コメディ」とあり、複数形で単数扱いであるが、'folly'の「愚劣、愚行」の意味をかけているのかどうかは知らない。
またミュージカルフォンテーヌの「フォンテーヌ」の意味は、フランス語で「泉」の意味なので、これは設立者のいずみたくの「いずみ」にかけているのであろう。
今回の公演は「イッツフォーリーズ」40周年記念、いずみたくメモリアル25年記念公演(いずみたくは1992年に亡くなっているので、今年が25回忌となる)で、いずみたくが若かりし頃、青年劇場の瓜生正美と共に作った『夏の夜の夢』をミュージカル『A Midsummer Night's Dream』としてリメイクしての上演という。
シェイクスピア劇とは直接関係ない劇団によって、このような形で上演されることに興味がわいての観劇。
ミュージカル劇としては別にして、期待の坪内逍遥訳でのミュージカルという点においては期待外れとなった。
その主な理由は、歌唱部分が逍遥ではなく、別途作詞されたもので、全体として坪内逍遥訳の雰囲気を感じることが出来なかったということで、この公演そのものに対しての不満ではない。
最初に印象的に感じたのは、薔薇の花弁のように中心部に収れんするような構造体で、二層構造の舞台装置となっていて、二階部分の中央はデフォルメされた鏡板のようになっていて、出入りにも使われていることであった。
劇の進展はミュージカル劇らしく、流れるように展開していく。
見ていて面白かったのは、アテネの職人たちの場面で、特に劇中劇は楽しく観ることができた。
この劇の中心は、パックを盛り立てる10人からなる妖精たちであろう。そのパックを演じたのは大塚庸介、妖精たちはイッツフォーリーズのベテランの女優達。
劇団昴の水野龍司ほか、文学座の采澤靖起などの客演を含めて、総勢26名、そして5人が生演奏を担当。
上演時間は、途中15分の休憩を挟んで2時間20分。
翻訳/坪内逍遥、演出/河田園子、脚本・作詞/瓜生正美、作詞/山川圭祐、音楽/いずみたく、
6月12日(日)14時開演、池袋・あうるすぽっと、
チケット:(シルバー)5000円、座席:J列14番
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