高木登 観劇日記2016年 トップページへ
 
   楠美津香超訳 『シェイクスピアの道化たち』      No. 2016-004
 

楠美津香一人シェイクスピア劇『シェイクスピアの道化たち』は、着想のユニークさとその構成の巧みさで楽しむことを満喫させてくれ、90分という時間があっという間に過ぎてしまった。
『シェイクスピアの道化たち』は「沙翁役者が語るシェイクスピア」のシリーズ第3作目となる。
シェイクスピアの作品に出てくる様々な道化、および道化的人物を拾い上げ、道化とはもともとは道から外れたもの「道外」であり、「外道」を裏返したもので差別的用語であることから解きほぐしていく。
道化’clown’は社会の最下層に属し、その対極にあるのが発音の似通った’crown’、「王冠」すなわち「王」であり社会の頂点に立つ者であるが、シェイクスピアの作品の中ではその「王」がリア王などに見られるように道化化していく姿を解析する。
シェイクスピアの作品の中では、いわゆる「道化」として書かれて登場する道化と、名前があって道化とされている人物、またその存在が道化的人物として描かれている者を含めて、道化は全部で20余人(正確な数を述べているが、記憶があいまいなので余人とする)いるという。
『シェイクスピアの道化たち』で取り扱われた道化的人物は、その出典を紹介する当日配られたチラシに書かれている。それをそのまま取り上げると、

『テンペスト』2幕2場:トリンキュロー、ステファノー、キャリバン
『ヴェローナの二紳士』4幕4場:ラーンス
『お気に召すまま』3幕4場:タッチストーン
『ヴェニスの商人』2幕1場:ラーンスロット・ゴボー
『マクベス』:門番
『尺には尺を』4幕3場:ポンピー君
『十二夜』3幕1場:フェステ
『冬物語』4幕3場:オートリカス&羊飼いの倅
『恋の骨折り損』:ホロファニーズ先生
『ヘンリー四世』5幕1場:フォルスタッフ
『から騒ぎ』3幕3場:ドグベリーと夜番たち
『間違いの喜劇』3幕2場:アンティフォラス弟&ドローミオ弟
『ロミオとジュリエット』1幕3場〜4場:乳母&マーキューシオ
『ハムレット』:墓掘り
『リア王』:道化
『夏の夜の夢』:ボトム&職人&パック
『十二夜』3幕4場:マルヴォーリオ

と、ざっとこの順番で時事ネタは日本の時事に置き換えて面白おかしく語ることで身近に引き付ける。
これだけの登場人物とその内容を分かりやすく、しかも面白く作り上げている構成力が素晴らしいと感服した。
会場は年配者が多かったように思うが(例の如く最前列にいるので全部の観客の様子までは分からない)、楠さんの解説的説明に納得したり、感心したりの頷く声が漏れ聞こえ、非常に和やかな雰囲気な中にも熱い熱気があった。
自分にとっても、シェイクスピアを読み、理解する上にも非常に参考になった。

(超訳/楠美津香、2月26日(金)14時、杉並会館・第2集会室にて。チケット:2500円

 

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