高木登 観劇日記2015年 トップページへ
 
   池袋演劇祭・劇団つばめ組公演 『マクベス』     No. 2015-32
空白

出演者が少人数ということもあって、マクベス役を除き全員が複数の役をこなす。
その中でマクベス夫人、マクダフ夫人、侍女役を演じる女優が魔女を演じる演出は面白い試みであると思った。
その魔女たちは冒頭で『ヘンリー五世』の序詞役の台詞をもじったプロローグを語り物語の進行役を務め、最後の場面ではマクダフ、マルカムの台詞に代えて魔女たちがエピローグとして語って終わる。
始まりの魔女たちの台詞、「いいは悪いで悪いはいい」はロック調の音楽をバックに、’Fair is foul, and foul is fair’と英語の台詞と合わせて歌唱され、全体としても音楽劇の様相を呈している。
ダンカンがマクベスの城を訪れる宴会の場や、王となったマクベスが催す宴会の場では、「ミュージック」という掛け声で『王様と私』のダンスの場面の音楽が流され、一同はダンスを繰り広げる。
少人数ということで原作との違いを見せる演出も多々あってそれがかえって面白くもある。
たとえば、マクダフの居城を襲う場面では、マクベス夫人がマクダフ夫人の元にまず現れ、彼女を襲うのはマクベス本人となっている。
マクベス夫人が夢遊病者となって徘徊する場面では、医師ではなくマクベス本人がそれを目撃し、夫人はマクベスの手を取って寝室へと誘っていく。
魔女役との二役の女優とは別に、男優の二役では、バンクォーとマクダフの二役をした劇団俳小所属の小野禎治とロス、門番を演じたふしみ士郎にはその変装に気付かなかったほど別人に見えた。
ダンカンを演じた仲条裕はマルカムとの二役をしたが、マルカム役の演技はあまりに遊びに過ぎた感がした。
マクベスには堀越健次、マクベス夫人は石川久美子が演じた。
圧縮した上演時間の中で構成上順序の入れ替えなどの工夫もあった割には全体的に冗長的な退屈さがあったが、演劇祭参加作品としての祝祭性を感じさせるものがあった。
演技面ではマクベス夫人を演じた石川久美子の好演が印象に残った。
出演は老人役の新劇ベテラン女優の荒川ヒロ子(今年初め脳梗塞で倒れての復帰出演)を含め、総勢9名。
上演時間は、1時間50分(休憩なし)

(翻訳/小田島雄志、演出/仲条裕、9月12日(土)13時開演、北池袋新生館シアターにて観劇。
チケット:3500円)

 

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