高木登 観劇日記2015年 トップページへ
 
  板橋演劇センター公演 『ヘンリー六世・第二部』      No. 2015-26
 

壮大な歴史劇にふさわしい総勢22名出演で舞台を賑わしてくれる。 
舞台上には何もないが、ホリゾントにセントポール寺院など、時と場所に応じた背景が淡く映し出されるという簡素な設定で、それだけに舞台は登場人物の台詞と所作に集中して注目できる。 
『ヘンリー六世・第二部』は、第一部からの続きとしてマーガレットとヘンリー六世の婚儀の場から始まり、グロスター公の失墜と死、それに続く枢機卿の死をもって新旧世代が交代し、ヨーク公の台頭、セント・オールバンズの戦いで薔薇戦争の火ぶたが切って落とされるところまでで、その間にケイドの反乱などのエピソードが挿入される。 
第二部の主役、ヒーローとヒロインはヘンリー六世とマーガレットに集約できるだろう。 
その二人を演じる小林佑太、山田麗美が好演。 
特に山田麗美の憎まれ役の演技は、その目と台詞によく表現されていてよかったと思うし、小林佑太のヘンリー六世も純朴で好感の持てる演技であった。 
板橋演劇センターの最初からすべて出演している3人のうちの一人である代表の遠藤栄蔵は、グロスター公爵とクリフォード卿、そして鈴木吉行はヨーク公爵を、酒井恵美子がグロスター公夫人エリナーを演じ、いずれもこの劇の重要な役を果たしている。 
エピソードの一つ、セント・オールバンズでの奇跡の詐欺師シンコンックスを演じる光永勝典などもこの舞台にゆるりとした笑いをもたらしてくれる演技であった。 
演出で目立った点では、後のリチャード三世であるリチャードを最初から登場させて、ヨーク公の番犬のような見張り役をしている姿に注目した。 
板橋演劇センターの最大の特徴は、演じる側も、観客の側も、下町的な素朴な味わいから醸し出される雰囲気と、一途でひたむきな、何とも言えない暖かな雰囲気に癒されるところにある。 
上演する劇場確保の関係もあって、これまで公演日程が決まったのを知った時にはほかの予定が入っていて見逃す機会も多く、今回も公演日の2日とも他の観劇予約が入っていたが、当日の昼の部、池袋の“あうるすぽっと”での“子供のためのシェイクスピア”公演『ロミオとジュリエット』を観劇後、その足で板橋文化会館に駆けつけて観劇することができた。 
板橋演劇センターのシェイクスピア全作品上演の残すところは、『ヘンリー六世・第一部』と『ヘンリー八世』だけとなった。 
見逃すことのないよう、しっかりと予定に組み入れたいと思う。 
遠藤栄蔵氏の健闘と、出演恵者の熱演を期待してやまない。

上演時間は、休憩なしで2時間30分であった。

 

(翻訳/小田島雄志、演出/遠藤栄蔵、7月19日(日)17時30分開演の部、
板橋文化会館・小ホールにて観劇)

 

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