高木登 観劇日記2015年 トップページへ
 
   新宿梁山泊公演 『ハムレット』      No. 2015-10
 

刺激的で斬新な演出と、可動式の壁が場面ごとに素早く移動され次々と場所の変化を作り出すことからダイナミックな舞台が作り出されていく。
冒頭の部分は儀式的なプロローグともいうべき始まり方で、ろうそくをともしたランタンを掲げた登場人物が次々と現れて、それぞれが’To be or not to be; that is the question’の歴代の様々な翻訳を口にしては献花台に白百合を捧げていく。
その儀式的にも見えるプロローグ的な場面がすみ、ハムレットの「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ」の部分の独白が語り終わって、クローディアスの謁見の場から始まる。
そこではクローディアスがハムレットの機嫌をとるかのように握手を求めていくと、ハムレットは手を差し出すかのようにするが、その手を頭にもっていって髪をかきむしって、クローディアスの気を殺いでしまうのが印象的であった。
レアティーズの旅立ちの面では、オフィーリアがハムレットからの手紙を読む場面が新たに挿入され、そこにハムレットが登場し、オフィーリアに首飾りを贈り、オフィーリアはハムレットに自分の髪にさしていた髪飾りを贈る。
その髪飾りをハムレットは自分の本にはさんで絶えず大事に手にしており、最後の死を迎える場面でもそれを大事そうに取り出して見つめるので重要な構成要素となっている。
オフィーリアが川に落ちて溺れる場面もガートルードの台詞だけでなく、舞台奥にオフィーリアのその姿を可視化させることで観客をひきつける。
斬新さという点では亡霊とハムレットとの出会いの場面で、舞台中央奥に先王の大きな肖像画が掲げられていて、亡霊の台詞に応じてクローディアスの肖像画に変じたり、王殺害の場面を映像として映し出すことで視覚的に訴えてくる。
残忍な殺戮の場面の終局では、フォーテインブラスの登場の代わりにオフィーリアが表れて、死んだ一人一人にろうそくの入ったランタンを手渡し、そこで彼らは立ち上がって、ひとり、ひとりと、奥へ退場していく。
このようにしてみると、ハムレットと並んでオフィーリアの役がかなり重要な地位を占めているように見える演出であった。
最後は、舞台中央に一人残されたホレーシオの中空をじっと見つめる姿がしばらく続いてやっと舞台が暗転して深い闇となり、その残像が心にいつまでも残る印象深いものであった。
金守珍の斬新な演出に、新たなハムレット体験を心行くまで味わった。
出演は、ハムレットに広島光、クローディアスに立本夏山、ガートルードに渡会久美子、ホレーシオに松田洋治、ポローニアスに島本和人、オフィーリアに海老根寿代、レアティーズに八代定治、亡霊に金守珍、総勢14名。
上演時間は、休憩なしで2時間10分。
新宿梁山泊ではこれから先、芝居砦・満点星の名付け親である小田島雄志と唐十郎にちなんで、この芝居砦・満点星では、シェイクスピアの作品と唐十郎の作品の二本立ての公演を続けていくということで、シェイクスピアの作品の今後の予定としてはすでに『オセロー』、『マクベス』、『ヴェニスの商人』が組まれているという。金守珍の斬新な演出が楽しみである。

(翻訳/小田島雄志、演出/金守珍、2月22日(日)14時、芝居砦・満点星にて観劇。
チケット:3800円)

 

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