高木登 観劇日記トップページへ
 
  東京シェイクスピア・カンパニー公演
    鏡の向こうのシェイクスピア・シリーズ 『フォルスタッフ』 再演  
No. 2015-007

 2009年2月に大塚の萬劇場で公演されて以来6年ぶりの再演で、今回はキャスト全員総入れ替えとなっている。久しぶりなので自分の観劇日記を読み返してみたが、そのミステリー的なストーリーのため結末を書いていなかったので、まったく新しい気持で観ることができた。
 とはいっても、前回フォルスタッフを演じた増留俊樹や、座長エリザベスを演じたつかさまりとマーガレットを演じた牧野くみこの言葉の取っ組み合いの演技の印象が濃厚に残っていたので、その比較を楽しみながら味わうこともできた。
 前回のイースト・チープの舞台は16角形になっていると書いているが、今回は8角形となっていて、下手の土間は前回と同じく化粧台セットのある楽屋裏となっている。
 ストーリー全体は前回の観劇日記の繰り返しとなるので省くが、最後の印象については、これまで気持がバラバラであったイースト・チープ一座がヘイムズ(実はエドマンドという役者の変装)という異物が入ってきて生じた騒動が治まったところで皆の気持が一つとなって結束し、『ウィンザーの陽気な女房たち』の上演以外の新たな演目へのチャレンジという明るい希望の兆しが輝いているような終わりを感じて、晴々しく救われた気持となった。
 登場人物がすべてシェイクスピアの作品に出てくる名前であることや、劇中に『ハムレット』や『マクベス』などに関連した台詞などふんだんに出てきて、この作品のミステリー的な面白さと合わせて、シェイクスピアを二重三重にも楽しむことができる。
 出演は、舞台監督ティレル役を少年王者館の井村昴、ヘイムズ(劇中劇ではフェントン)を宇井晴雄、ジョン(フォルスタッフ)をかなやたけゆき、ジャケネッタ(ロビン、アン・ペイジ、エヴァンズ)を川久保州子、座長夫人エリザベス(ペイジ、ペイジ夫人、ニム、妖精の女王)を劇団AUNの金子久美子、エドガー(フォード、スレンダー)を劇団裏長屋マンションズの真延心得、マーガレット(フォード夫人、ピストル、パック)を森由果、楽士アミアンズを佐藤圭一。


作・演出/江戸馨、舞台美術/濱崎賢二(青年団)
1月31日(土)14時かいえん、日暮里・d-倉庫、チケット:3900円。
『フォルスタッフ』の台本と『ウィンザーの陽気な女房たち』(江戸馨訳)のセット:1000円

 

>> 目次へ