高木登 観劇日記2014年 トップページへ
 
  文学座シェイクスピアリーディング 秋のシリーズ No. 2      No. 2014-38
 

ハムレット2題    
太宰治作『新ハムレット』 / ハイナー・ミュラー作『ハムレット・マシーン』

文学座シェイクスピアリーディングが選んだのはシェイクスピアの『ハムレット』ではなく、シェイクスピアの『ハムレット』に触発されて創作された太宰治の『新ハムレット』とハイナー・ミュラーの『ハムレット・マシーン』であった。 
太宰の『新ハムレット』についてはシェイクスピア・シアターが2012年に、吉田鋼太郎主演の『ハムレット』の再演と合わせて同時公演されていて、その時の観劇日記には、キャスティングの組み換えでシェイクスピアの『ハムレット』を「表」とし、太宰の『新ハムレット』を「裏」の『ハムレット』にした面白さがあると記している。 
『ハムレット・マシーン』については同じく2012年に笛田宇一郎が演じた『ハムレット/臨界点』にハイナー・ミュラーの台詞が組み込まれているのを観たのが初めてであった。 
太宰の断り書きでは『新ハムレット』が舞台のための戯曲ではなく小説としての戯曲であり、ハイナー・ミュラーの『ハムレット・マシーン』は上演不可能な戯曲と言われ、どちらも舞台化しにくい作品で、そういう意味では文学座が今回朗読劇としてこれらの作品にチャレンジすることに興味があったし、実際の舞台ではほとんどみる機会のない作品ということで楽しみにもしていた。

最初に観た(聴いた)のは『新ハムレット』。 
朗読劇のスタイルとしては、これまで観てきたシェイクスピアリーディングのシリーズの中では、最も朗読(劇)に近いものであった。 
藤川三郎のハムレット役のみは最初から演技モードに入っていて、台本もほとんど手にすることなく演じていたが、そのほかは当初は立ち読みの形を取っていたので、目をつぶって台詞そのものを聴いて楽しむことができたが、次第にいつものように演技モードに入っていってその演技を目で追うようになった。 
自分で読む太宰の『ハムレット』は軟弱でべたついた台詞回しに感じるのであるが、ここで朗読される『ハムレット』にはそんな感じがしなかった。 
外山誠二が読むクローヂヤスは、善人のように見えて底の知れなさを感じさせる読みと演技で印象強かった。 
その他の出演者は、ポローニヤスに関輝雄、レイェチーズとホレーショーを鈴木亜希子、ガーツルードを山本郁子、オフィリヤは吉野実紗。 
朗読時間は1時間40分。

(台本構成・演出/五戸真理枝、9月26日(金)14時の部、
文学座新モリヤマビル第一稽古場にて。 チケット:1000円)

 

『ハムレット・マシーン』は、執行真生による映像を用いた4人の出演者による朗読。 
舞台装置として大きな矩形の枠が吊るされていて、抽象的なイメージを喚起させる。 
舞台化困難な作品と言われるが単純な朗読よりも、自分には笛田宇一郎が演じた<身体性>によるストイックな演技を伴った演出が10年以上も前であるのに印象が強く残っていて、そちらの方がよかった。 
この朗読を聴いた2日後の今、朗読を聴いた印象がほとんど残っていないので書くことが何もないが、実験的な試みとしての性格を感じる。 
出演は、醍醐貢介、沢田冬樹、石井麗子、金松彩夏、当初出演予定の柳橋朋典は体調不良で降板し、代役なしで4人で朗読。朗読時間は45分。

(訳/岩淵達治、谷川道子、演出/中野志朗、9月27日(土)14時の部、
文学座新モリヤマビル第一稽古場にて。チケット:1000円)

 

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