高木登 観劇日記2014年 トップページへ
 
  文学座シェイクスピア・リーディング 秋のシリーズ      No. 2014-32
 

『ソネット集』、『ヘンリー五世』

今回は、ソネットの朗読と『ヘンリー五世』の一挙2本立ての公演。 
『ソネット集』は、鬼頭典子と内藤裕志の二人が朗読。 
演出は、田俊哉。 
30篇のソネットを二人で交互に朗読し、ときに二人で台詞を交錯させるという劇的趣向も加わり、身体的所作を伴っての朗読はとても臨場感が溢れていた。 
シェイクスピアのソネット集はもともと物語的に展開していくが、選んだソネットの組み合わせによってその物語性をいっそう感じさせるという効果があった。 
18番のソネットを、最初は鬼頭典子が彼女の冒頭のソネット朗読に取り上げ、最後には二人で再びこの18番を朗読することで全体が円環的に結ばれ、余情が深まった。

15分間の休憩後、『ヘンリー五世』の朗読劇。 
総勢12名による朗読劇で、朗読というより普通の舞台のようで、所作も入っていて、小道具も用い、台詞はほとんどの場面で台本なしで語られた。 
プロローグとエピローグのコロスの台詞は、全員参加で、台詞を分担して朗読する。 
余分なものがないだけにシンプルで、非常に分かりやすく、好感のもてる舞台であった。 
シェイクスピアの歴史劇は、その歴史を知らない日本人の観客にとっては、人物やその歴史的背景などからなかなかなじみにくいところがあるが、この舞台では舞台奥の一角に映像で人物像など映し出すことで、理解しやすくしていたのも効果的であった。 
特に、ヘンリー五世がフランスの王位継承権を確認する冒頭場面のサリカ法についてのキャンタベリー大司教(外山誠二)の台詞は、背景に系統図が描かれてあることで理解するのを助けてくれる。 
演技面では、外山誠二がフルーエリンを彼自身が楽しんで演じているようで、好ましく、楽しく乗せられた。 
ソネット集にも出演した内藤裕志が、『ヘンリー五世』でもバードルフ、モントジョイ、フランス王など演じ大活躍。 
主役のヘンリー五世を演じたのは、高塚慎太郎。 
演出は、鵜山仁。舞台美術は、出演者でもある外山誠二、前東美菜子、それに乗峯雅寛が担当していた。 
翻訳は、『ソネット集』、『ヘンリー五世』とも小田島雄志。

 

(8月12日(火)13時30分開演、文学座アトリエにて観劇。チケット:2本立てで1000円。
全席自由席)

 

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