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  ITCL来日公演 『ロミオとジュリエット』      No. 2014-20
 

ITCLの来日公演『ロミオとジュリエット』は、今回2005年と09年に続く3度目となるが、今回の来日メンバーは、これまでとは一新されて6人全員が初めての来日である。
構成メンバーはいつものように男優4名、女優2名だが、男優のうち2名が黒人俳優となっている。 
キャスティングで眼を引くのは、モンタギュー家もキャピュレット家も、その夫人が登場しなかったこと。 
前回観た09年の公演では、キャピュレット家の従僕グレゴリーやヴェローナの大公を女優のナタリア・キャンベルが演じ、キャピュレット夫人は男優のリチャード・クルーハンが演じていた。 
今回キャピュレット夫人は登場しないものの、夫人の台詞に当たる部分を代わりにキャピュレットが語る。 
ロミオ、モンタギュー、マキューシオなどモンタギュー家側を二人の黒人俳優が演じていて、意図的かどうかは別にして、視覚的な統一性を感じた。 
演出はいつも通りポール・ステビングスであるが、今回、出演者の動きがこれまでと違ってスピード感に乏しく感じた、というかむしろ意識的に緩慢にしているところがあったように感じた。 
ITCLの特徴として感じてきたのは、シェイクスピアを楽しく身近なものとして見せてくれることであった。
これまでの公演ではそのスピード感ある役の早変わりなど、コミカルな面白みを味わうことができたが、今回は少しこれまでとは異なる印象を感じたがそれなりに楽しめた。 
これまでの公演がスピード感があふれていただけに舞台に熱気を感じさせるものがあったが、今回はティボルトとマキューシオとの喧嘩の場面などもクールで冷めた感じがした。 
反面、舞台装置としてのキューピッドや天使の石像を役者が演じたり、死神が徘徊するなどの趣向をこらしていたのが今回の特徴として特に目立った。 
キャピュレット家の召使いポットパンは、ティボルトやパリスを演じるディメイアン・ウォレン‐スミスが、ひょっとこのような面相の半仮面をかぶって登場し、道化を演じた。 
キャピュレットやベンヴォーリオを演じたダリウス・マクスティはシェイクスピア劇初挑戦ということであったが、サービス精神豊かなコミカルな所作や台詞回しで楽しませた。 
ロミオは黒人のネイティ・ジョーンズ、ジュリエットを演じたジョージア・アシュワースはその美しさが際立っていた。 
そのほか、ジュリエットの乳母や大公をルース・キャタローチュ、マキューシオをガーナー出身の黒人のジュード・オウスが演じた。 
上演時間は、15分間の途中休憩を入れて、2時間40分。

 

(演出/ポール・ステビングス、5月24日(土)、学習院女子大学・やわらぎホールで、
前列から2番目の中央の席にて観劇)

 

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