高木登 観劇日記2014年 トップページへ
 
  Theatre Moments公演 『終わりよければすべてよし』   No. 2014-06
 

平日のマチネということもあて、開場時間前はまばらな人であった。
おまけに外では小雪がちらつき始めていた。
それでも開演時間には座席は7割くらい埋まっていたようだ(例によって最前列の席を取っていたので、全体の状況が把握できていない)。
開演前には、劇団主宰者の佐川大輔さんが観客に飴玉を配り、「小さな頃の夢は何でしたか」という質問を数名の観客から募って、その内からランダムに一つを選び出し、出演者たちが言葉ではなく身体表現による「伝送ゲーム」をやって全体の気分をほぐさせるとともに、この劇団の特徴である「身体表現」を実演するという工夫を凝らしていた。
ちなみに選び出された「夢」は、「大きくなったら相撲取りになって、強い力士を倒したかった」であった。
劇団Theatre Momentsは1999年、佐川大輔と中原くれあが中心になって設立し、「日本発のワールドスタンダード演劇を作る」という壮大な抱負を掲げて、「想像から創造へ」を合言葉にしており、Momentsの名の由来は、「今のその瞬間をお客様と共有すること」によるという。
劇団設立以来今回は21回目の公演とあり、シェイクスピア劇は過去には『オセロー』、『マクベス』、それに『終わりよければすべてよし』を上演している。
『終わりよければすべてよし』は6年前、第10回公演時で初演し、今回はその時の観客の賛否両論の評価にリベンジすべくリメイクしているという。
タイトルも本題に加えて「ハッピーエンドの見つけ方」という副題を付けている。
この作品自体が問題劇として扱われているように、どことなくしっくりしない劇ではあるが、その割り切れなさに微妙な深みを感じて忘れ難い作品の一つでもある。
ヒロインのヘレナの「夢」は身分違いのロシリオン伯爵バートラムとの結婚で、彼女はその夢のゴールに向かってまっしぐらに進んでいく。
ゴールは白いテープが張られていて、バートラムとの結婚を正式に手にしたとき、ヘレナはそのテープを胸で切る。
この白いテープは、身体表現の小道具としても劇中多用され、劇の進行にスピード感を持たせる。
登場人物の中でこのヒロインのヘレナだけが、3人の女優で順に演じられるのが大きな特徴の一つでもある。
劇の展開そのものはシェイクスピアの内容と大きく異なる訳ではないが、シェイクスピア劇というよりそれを利用した独自のオリジナル劇を感じさせるものであった。
この劇の内容からしてさわやかなハッピーエンドを感じたわけではないが、この劇団の若さと明るさを感じさせる舞台であったと思う。
シェイクスピア劇を演じる劇団やグループの発見には際限がなく、今回はその発見をも楽しんだ。

(構成・演出/佐川大輔、3月7日(金)昼、調布市せんがわ劇場にて観劇。チケット代:3500円。
全席自由席で最前列中央の席を取る)

 

>> 目次へ