文学座シェイクスピア・リーディングの最後となる『ヘンリー八世』と『あらし』を12日(金)と13日(土)の昼の部で聴いた。
『ヘンリー八世』
『ヘンリー八世』はヘンリー八世を演じる若松泰弘のみが男性で、あとは7人の女優が演じる趣向となっていて、女優は一人二役、三役も演じる。
主な役柄としてはウルジーを山本道子が演じ、ウルジー役の時には頭の上にハンカチを折り畳んだようなもので司教の帽子のようにして他の人物を演じる時と分かりやすいように区別していた。
王妃キャサリンを山崎美貴、アン・ブリンを吉野実紗がそれぞれ演じた。
1時間20分という朗読時間にコンパクトにまとめられ、全体の内容も分かりやすかったと思う。
翻訳/小田島雄志、演出/上村聡史
12月12日(金)14時開演、新モリヤマビル1階・第1稽古場、チケット:1000円
『あらし』
7人の俳優の出演で、女性役はミランダだけの一人なのに女優の出演が3人になっていたのでどのようなキャスティングになるのか興味深かったが、チラシには出演者のみの名前で役柄は示されていなかった。
冒頭、嵐の場面ではプロスペローの魔法の杖(ここでは枯木を用いていた)で木の葉が大海を漂うさまを映像を使って表現する。映像はこのあとにも場面の状況説明として場面ごとに使用される。
嵐の場面の水夫長の朗読は、緊迫感が乏しく、淡々として聞こえた。
嵐の後、3人の女性がミランダの台詞を演じる。
ミランダを3人の女優がそのまま演じ続けると思っていたら、彼女らを含め出演者全員が場面ごとに役柄を変え、ある場面では最初に妖精を演じた男優が女役のミランダを演じ、ファーディナンドを女優が演じたりした。
そのように役柄を場面ごとに変えるので、役者は登場人部の名前を大きく記した台本を手に持って観客に見えるように示して演じ、台本の表紙の色も役柄によって変えており、見分けがつけやすいように工夫されている。
ストーリーが分かっている者には問題ないが、そうでない場合この役柄の転換はかなり混乱させられるのではないかと思った。
ヘンリー八世と同様、主役のプロスペローだけが一貫して同じ役で通す。
朗読劇というより、実験的な試行劇を観る思いであった。
出演は、プロスペローに沢田冬樹、他の男優人は中村彰男、采澤靖起、南拓哉、女優陣は渋谷はるか、荘田由紀、前東美菜子。
上演時間(朗読時間)は1時間30分。
訳/福田恆存、演出/的早孝起
12月13日(土)14時貝絵㎜、新モリヤマビル1階・第1稽古場、チケット:1000円
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