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  関東学院大学シェイクスピア英語劇第63回公演
               『ロミオとジュリエット』         
No. 2014-048

 途中10分間の休憩を挟んでの3時間におよぶ熱演を楽しませてもらった。 当初の演出プランでは160分の予定であったが、台詞のカットはあってもすべての場面を上演するという画期的な試みで結果的に目標時間に収まりきらなかったという。 
 今回の上演に関しては、演出主幹瀬沼達也氏による演出コンセプトが色濃く反映されているのが特徴でもあった。 すべての場面をカットなしで上演するということもその一つであるが、プロローグと休憩後にシェイクスピアを登場させて口上を述べさせる趣向を取っていることもその一つである。 
 これまでにも登場人物の役者をプロローグに登場させて日本語での概説の口上を述べさせることで、英語上演への観客への理解の一助にしてきたが、今回はシェイクスピア生誕450年ということもあってシェイクスピアにその役割を担わせているのが特徴であった。 
 この手法自体は、瀬沼氏がシェイクスピア英語劇の一人芝居でよくとっているなじみの手法でもある。 
 キャピュレット家とモンタギュー家の両家の衣裳を、前者を赤色系、後者を青色系に分けることで、人物関係や対立関係を容易に見分けることができ、印象も鮮明に迫ってくるという効果があった。 
 『ロミオとジュリエット』の劇は主役のロミオやジュリエットの重要さは言うまでもないことだが、この劇の面白さはマキューシオとジュリエットの乳母の演技次第で左右されると言っても過言ではないだろう。 
 その点で言えばこの上演は成功していると言って間違いない。 
 特に、福圓容子委員長発案によるという乳母を1役2名のキャスティングで、その乳母を演じる二人のキャラクターのコントラストもあって喜劇的な効果が高まっていて、この舞台の成功を大いなるものにしていたと思う。 
 喧嘩の場面でのフェンシングの殺陣は見事というほかはないほどの出来栄えで、その剣さばきを十分に楽しませてもらった。 
 『ロミオとジュリエット』は、関東学院大学のシェイクスピア英語劇の長い歴史の中で実に27年ぶりの上演という。学生劇向きのテーマと見える作品だが、実際に上演する場合、難しい作品だという。 
 今回の上演は、若さと清純さで、さわやかな好印象が残るものであった。
 アンケートに答える形で、5点満点での採点を、お遊びにしてみたので参考までに。

1. 全体を通しての感想: 4点
2. 発音(声量を含む): 3点(声量は十分であったが、一部聞き取りにくい発声があった)
3. 演技について: 4点
4. 音響・効果について: 4点
5. 衣裳について: 4点
6. 照明について: 4点
7. メイクアップについて: 4点
8. 小道具・舞台装置について: 4点
9. 劇中劇の解説・字幕について: 劇中劇の解説は4点。字幕は原則見ないことにしているのと、最前列で字幕自体が見えにくいので評価対象外)
10. (番外として)特別熱演賞: 乳母役の2名
最後に、毎年楽しませていただき、感謝!!

12月5日(金)18時半開演、神奈川県民共済みらいホール、最前列中央部席にて観劇

 

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