"子供のためのシェイクスピア・カンパニー"の公演が20周年を迎えた。
僕が見始めたのが第3回の『リア王』(1987年)からで、それから欠かさず毎年観てきている。
記念すべき20周年の公演を飾るのは2004年に公演された『ハムレット』の再演で、その時のハムレットは植本潤であったが、今回ハムレットを演じたのは、若松力。
10年前のキャスティングと今回とを見較べると10人のうち半分が前回と同じメンバーであるが、そこで面白いことに気付いた。 それは前回オフィーリアを演じた佐藤あかりが、今回ガートルードを演じていることで10年の歳月を感じさせた。
それにしても初回から全作品出演の山崎清介、戸谷昌弘、伊沢磨紀はまったく変わって感じないのは不思議な気がする。
山崎清介は前回同様に先のハムレット王の役、伊沢磨紀もフォーティンブラスとローゼンクランツの役で変わっていないが、前回レアティーズを演じた戸谷昌弘は今回ギルデンスターンと現ノルウェー王で伊沢磨紀と対の役を務め、前回レアティーズを演じた福井貴一はクローディアスを演じているのも加齢の印(!?)。
オフィーリアの宮下今日子、ホレーシオの斉藤悠、レアティーズの長谷川裕之はこのシリーズに今回初出演。
10年前の観劇日記を見てみると、構成的にはほとんど変わっていないのに、前回の展開についてすっかり忘れており、自分の健忘症に愕然とした。
冒頭部は、中央に腰掛け椅子に座って居並ぶ黒コートにクロソフト帽の死者たちを前にして、フォーティンブラスが「この屍の山は無残な殺戮を物語っている」と最後の場面の台詞を語り、それをホレイショーが受けて答える。
黒コートの黒子たちによってハムレットの独白の台詞「このままでいいのか、いけないのか」「死ぬ、眠る」の台詞がリフレイン的に語られ、これらの台詞が前半部の基調をなしている。
そして終わりもまた、フォーティンブラスとホレイショーが対峙して冒頭で語られた台詞が繰り返されるという基本的構成は前回とまったく変わっていなかったが、そのことには観劇日記を読み返すまで覚えていなかった。
観劇日記は自分のための記録であるが、必要があって読み返す時など自分にとって貴重な資料となっているのを感じる。
原作では実際に登場することのない先のノルウェー王とハムレット王との一騎打ちの試合の場面や、フォーティンブラスの叔父である現ノルウェー王がフォーティンブラスに説教する場面など挿入していて、エピソードが視覚化されることで、子供にとっても理解しやすいだけでなく、楽しく面白いものとなっていると思う。
上演時間は、休憩なしで2時間。
21回目の公演内容もすでに決定していて、このシリーズの初回に上演された『ロミオとジュリエット』が来年7月に、同じ場所"あうるすぽっと"で公演されるという。新たなる出発を祝してやまない。
脚本・演出/山崎清介
9月15日(月)14時開演、池袋"あうるすぽっと"
チケット:4200円、 座席:L列21番、プログラム:1000円
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