高木登 観劇日記2013年 トップページへ
 
  子供のためのシェイクスピア 『ジュリアス・シーザー』      No. 2013-029
 

シェイクスピアの夏の風物詩ともなっている“子供のためのシェイクスピア”が今年で19年目を迎えた。

最初の頃に見ていた子供たちは、もうとっくに成人している年頃だろう。その頃の子供たちが大人になった今、どれだけの思い出を残すことができていて、どれだけの人が今もなおシェイクスピア劇を楽しんでいるだろうか。

思い出せる場面や作品、まったく記憶にないものまでさまざまであるが、過去の上演プログラムを開いて見ると、出演者の顔触れに懐かしさを感じる。

出演者については、シリーズ全作品出演しているのは、山崎清介、伊沢磨紀、戸谷昌弘の三人だけであるが、自分にとってのこのシリーズの楽しみの一つに、今回は誰が出るのだろうという出演者の顔触れの期待もある。

今回は新国立劇場演劇研修所の卒業生が4人も出演しているほか、“りゅーとぴあ”で活躍した河内大和が出演しているのが注目された。

『ジュリアス・シーザー』や『コリオレーナス』などのローマ史劇を見て感じるのは、大衆というものが扇動されやすく、気が変わりやすいことをシェイクスピアが見事に描き出していることであるが、ここでは黒マントの人物たちを大衆に仕立ててうまく表出させている。

タイトル・ロールのシーザーには山崎清介、アントニーに若松力、ブルータスに新国立劇場演劇研修所の卒業生のチョウ・ヨンホ、キャシアスに河内大和が演じ、ベテランの伊沢磨紀はキャルパーニア、トレボーニアス、ルーシアスを早変わりで演じ、戸谷昌弘もシセロ、キャスカ、ルシリアスを演じ分けた。

新国立劇場演劇研修所の卒業生の山本悠生が女役のポーシャと、メテラス、メサーラを演じ、北川響がディーシアス、オクテーヴィアス、長本批呂士が占い師、シナ、ティティニアスを演じた。

このシリーズは長く続いていることで、黒マントに黄色いヘルメットの衣裳とクラッピングという様式化された約束事や、遊びの場面が適時にあって、ある意味では映画「男はつらいよ」の“寅さんシリーズ”のように安心して観られるので、余分なことは考えず、観ている瞬間を楽しむだけで十分だと思っている。出演者の変化が、寅さん(山崎清介、伊沢磨紀、戸谷昌弘の三人)のマドンナ役と考えることもできる。

上演時間は、このシリーズでは珍しく休憩なしで、2時間。

 

(翻訳/小田島雄志、脚本・演出/山崎清介、7月15日(月)昼、池袋・あうるすぽっとにて観劇。
チケット:5000円、プログラム:1000円。座席:B列12番)

 

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