高木登 観劇日記2012年 トップページへ
 
  女性たちによる『ヴェニスの商人』と、家族の離散と再生『ペリクリーズ』      No. 2012-011 
 

『ヴェニスの商人』と『ペリクリーズ』の二作を、マチネとソワレで、一日で観た。

女性キャストのみによる『ヴェニスの商人』は期待が強かった分だけ反比例して感激度は薄く、逆にさほど期待していなかった『ペリクリーズ』には、期待以上のものを楽しめた。

今年から、シェイクスピア・シアターでは年2回の公演で、女性だけによるシェイクスピアが組み込まれ、新しい試みとして大いに期待し、楽しみにもしていた。

 

『ヴェニスの商人』のキャストは、シェイクスピア・シアターの座員二人と、文学座のベテラン俳優、新人およびオーディションによる玉石混合の組み合わせで、これまでのシェイクスピア・シアターとはまた一味違う者があった。

そのような組み合わせの中で、途中いろいろ事情が生じたらしく、チラシの配役と公演日の配役が一部変更されていた。

演技としては、シャイロックを演じた奥山美代子(文学座)のベテランのうまさ、ポーシャの白玉麻規子(文学座)のみずみずしい美しさ、そして劇団のベテラン、住川佳寿子のネリッサ、ラーンスロット・ゴボー/公爵を演じるに木村美保に視線が集中し、台詞も安心して聞くことができた。

 

『ペリクリーズ』はこれまでに平澤智之のペリクリーズ役を観ているが(2010年春の公演)、彼が退団した後、短い期間であったが最近まで座員であった宇野賢二郎が、今回ペリクリーズを演じた。

前回は、各幕のプロローグを語る詩人ガワーを6人で演じているが、今回は木村美保と高山健太の二人で演じる。ガワーは、物語の内容を紙芝居を利用しながら語る。さまざまな服装をした聴衆が、二人の話を聞くために集まっており、物語が終わった後、その聴衆が二人に拍手を送って幕切れとなる。

前回、セーザとその娘マリーナを住川佳寿子が一人二役をしたが、今回はセーザを住川、マリーナを『ヴェニスの商人』でジェシカを演じた福原美波が演じた。

演技では、女郎屋のおかみを演じた高原真弓が堂に入っていて、やり手婆の感じがよく出ていた。

感動的な場面としては、ペリクリーズがマリーナを実の我が子と分かるまでの宇野賢二郎の演技に、内面の心の動揺がうまく表現されており、涙を誘い出すものがあった。

ガワーを演じた木村美保と高山健太は、それぞれほかにも、ヘリケーナス、セリモン、女郎屋の亭主などを忙しく演じた。

他には、三田和慶がアンタイオカス、サイモニディーズ、リーオナインを、ボールトを小野秀幸、ダイオナイザを槇由紀子が演じた。

 

(訳/小田島雄志、演出/出口典雄、6月24日(土)、俳優座劇場にて観劇)

 

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