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2010年の「シェイクスピア劇回顧」と「私が選んだベスト5」

●私が選んだ2010年のベスト5 (観劇順)

1.  レパートリーシアター「風」公演 『ハムレット』
 2004年に、ウジェーヌ・イヨネスコ劇場の芸術監督ペトル・ヴトカレフ演出で上演したものを、今回、「風」の芸術監督である浅野佳成が再構成・演出。
   
2.  東京シェイクスピア・カンパニー公演 『十二夜』
 牧野くみこのオリヴィアの演技、つかさまりのマライアは、はまり役、フェストを演じた齊藤崇也の唄声を楽しんだ。
   
3.  インターナショナル・シアター・ロンドン(ITCL)来日公演 『オセロー』
 シンプルで、スピード感にあふれ、明快で、さわやか、楽しく観劇。
   
4.  BeSeTo演劇祭・劇団美醜公演 『リア王』
 シェイクスピアの悲劇と韓国の「恨」の文化の近似性、感動と満足感を味わった。
   
5.  彩の国シェイクスピア・シリーズ第23弾 『じゃじゃ馬馴らし』
 市川亀次郎のキャタリーナが印象的であった。3月公演の『ヘンリー六世』三部作を二部に再構成したものとどちらを選ぶか迷ったが、前年に新国立劇場で鵜山仁演で三部作一挙上演の快挙があったので、今回はあえて対象から外した。
   

●番外ベスト5 (順不同)

1.  英国観劇ツアーでの、ニコラス・ハイトナー演出、ロリー・キニア主演の『ハムレット』
 海外での観劇ということで「ベスト5」から外したが、「タイムアウト」の劇評の5つ星の高評価に違わぬ素晴らしい劇であった。
   
2.  シェイクスピア・カンパニー公演 『破無礼―奥州幕末のハムレット』
 早稲田大学校友会設立125周年記念の催し。東京公演を見逃していたので、今回観ることが出来、ラッキーであった。何とも温かい演出に至福の悦びを感じた。
   
3.  椿組花園神社野外劇公演 『天保十二年のシェイクスピア』
 躍動感あふれる演技で興奮の余韻を抱えて花園神社をあとにした。井上ひさしのオマージュをこめて、観劇日記では5つ星の評価をした。
   
4.  明治大学文化プロジェクト第7回公演 『夏の夜の夢』
 翻訳も含めて、学生たちの劇とは思えないレベルの高さに、観劇日記に「驚嘆」と記した。
   
5.  異色の試みを2つ選定
(1)ソネット・同時代人の『黒い貴婦人』
 Akiko Dance Projectによるコンテンポラリーダンスとシェイクスピアのソネットの朗読(日英語)の組み合わせ。ソネットは127番と130番を瀬沼達也が英語で朗読、つかさまりが小田島雄志訳で感情を入れずにのっぺりとした朗読、二人の朗読に合わせてダンサーが踊るという趣向。ソネットをコンテンポラリーダンスで演じるという試み自体が面白いと思った。  
(2)林蘭の九州弁で演じる 『ロミオとジュリエット』
 同じ九州出身ということで、その方言が近しい親しみを感じ、シェイクスピアがより身近に感じられた。
   


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