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  文楽 『天変斯止嵐后晴(てんぺすとあらしのちはれ)』      No. 2009-024
 

うっかりミスで大阪公演を東京での公演と間違えて予約したしまったため、交通費節約で、東京―大阪往復を夜行バス利用してのハードスケジュール観劇となった。

文楽『天変斯止嵐后晴』は、当初、日英協会百周年記念行事の一つとして、平成3年に日本の三大古典劇である能(狂言)、歌舞伎、文楽をそれぞれ翻案した作品をロンドンで上演する目的で企画され、文楽は『テンペスト』で決まったものの準備が遅れ、ロンドンでの上演は間に合わず、結局、翌年春、東京、大阪で各二日間試演されたということである。

今回は、文楽劇場開場25周年記念として、舞台などの大道具や人形の首、衣裳を一部新しくしての再演である。

山田庄一による脚本『天変斯止嵐后晴』は、かつてグローブ座で花組芝居による新歌舞伎様式で上演され、それを観ていたので、元の文楽ではどうなるのかと興味があった。

シェイクスピアの原作と異なる点では、登場人物の名前を和風に変えたのは別にして、ナポリ王の弟セバスチャンが省略され、トリンキュローとステファノー役が一人に集約され、茶坊主珍才として登場する。

妖精たちの姿かたちや、自由な動き(空を飛ぶこともできる)などは人形劇ならではの特徴を生かしたもので見ていても楽しいものであった。

ペリカンやダチョウのような首をした妖精、ナポリ王たちを襲って脅す怪鳥、そしてキャリバン(ここでは泥亀丸(でかまる)と呼ばれる)と茶坊主珍才を襲う妖怪は水木しげるの妖怪を想像させるもので、視覚的な楽しさに富んでいる。

栗田芳宏による'りゅうとぴあシェイクスピア・シリーズ'の『テンペスト』で、能を取り入れたものを観ていた直後だけに、それとの比較においても興味深いものであった。

 

(脚本・演出/山田庄一、7月25日(土)夜、大阪国立文楽劇場にて観劇)

 

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