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新国立劇場公演の『ヘンリー六世』三部作一挙上演
これは僕一人が言う話題作というより、世間の誰もが賛同する今年最高の快挙ではないかと思う。
まず、この作品自体、国内で三部作を通して上演されたことは、出口典雄のシェイクスピア・シアターを除いてないのではないかと思う。
2009年9月に出された松岡和子訳のちくま文庫『ヘンリー六世』の巻末の上演記録を見ても、オリジナル版を通しで上演しているのは、シェイクスピア・シアターしかない。
鵜山仁演出のこの舞台では、出演者もさることながら、島次郎の舞台装置と服部基の照明が重要な役割を果たしていたと思う。
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2. |
英国観劇ツアーでの『終わりよければすべてよし』
8月、東京経済大学の本橋哲也教授の企画・引率による英国・シェイクスピア観劇ツアーで観たシェイクスピア劇4本のうちの一つ。
ロンドン・ナショナルシアターのアソーシエイト・ディレクターのマリアンヌ・エリオット演出によるもので、これは当所の企画に入っていなかったものであるが、旅行会社の手配の関係で日程が1日延長となったため追加されたものであるが、結果的には自分にとってこの公演が一番気に入ったものとなった。
日本ではあまり見る機会がないだけに運を拾った感じであった。
ちなみに、本橋教授の企画の目玉作品は、サム・メンデス演出の『冬物語』であった。
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無名塾・能登演劇堂における『マクベス』
これは作品自体のできより、話題性に富む忘れがたい作品として取り上げる。
観劇の為に飛行機を使って1泊2日ということも初めてなら、能登演劇堂も初めて。
能登演劇堂の特徴をフル活用して、舞台後方を全開し、能登の風景を背景として本物の馬を走らせてのダイナミックな演出。舞台そのものは大味な感じであったが、仲代達矢の心意気に拍手。
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4. |
劇団AUN公演の『アントニーとクレオパトラ』
これは過去、自分が初めて観たシェイクスピア劇がこの『アントニーとクレオパトラ』であったという、まったく個人的な感情で選んだ。国内での上演がほとんどないだけに期待していたが、作品の出来としては中途半端な気がした。
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アカデミック・シェイクスピア・カンパニー公演の『ヴェニスの商人』
新生(?!)ASCとして、およそ2年ぶりのシェイクスピア劇公演で、今回2回観たが、見る角度の違い(舞台は四方から見る形)によって印象が異なるだけでなく、見えなかったものが新たに見えたり、また、見るたびに多少の変化もあって、そのことも面白く感じた。
これは小舞台の代表として選んだ。 |