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  ワークショップ プレヴュー公演 『マクベス夫人の手紙』      No. 2007-029
 

林蘭さんとの出会いは、2003年に劇団AUNが高円寺の明石スタジオで公演した『マクベス』が最初であった。そのとき林さん(当時は林佳世子)はマクベス夫人を演じて、最も注目した中の一人でした。そのとき劇中で使用された音楽の題名がわからず、メールで質問したら親切に返事をいただき、お世話になった。

その林さんが言葉を伝えるためのワークショップを来年1月から始められるのに先立ち、そのプレヴュー公演として30分という短い時間ではあるが、『マクベス』を構成して『マクベス夫人の手紙』を演じられた。

場所は荒川区の、東京メトロ千代田線、町屋駅の0番出口からあがってすぐのセンター町屋ビル4階、ムーブ小劇場。劇場というよりスタジオといったスペース。平土間がそのまま舞台で、客席は椅子を並べて、せいぜい30人程度しか入れない。当日、観客の一部は劇団AUNの仲間や業界関係と思われる若い人が主だったが、始まりが8時という遅い時間にもかかわらず、小学校低学年(もしくは幼稚園児?)の小さな子供たちが7,8人も参加した。

この小さな子供たちの参加は林さんにとっても思いがけないものだったようでした。プレヴューの後のワークショップでそのことに触れ、その子供たちにどのようにしたら理解してもらえるだろうかととっさの工夫を考えられたということでした。

30分という短い上演でしたが、全体の構成もよく、演技の迫力も十分堪能できるものでした。

開場してからは、もう舞台には共演者の太田智子さん、宮川英子さんがコンテンポラリーの身体演技を緩慢に演じていて、それをみているだけでもこれからの舞台の想像を駆り立ててくれました。BGにかすかに遠雷の音が嵐の風景を想像させます。開演するとその嵐の場面が高揚され、音楽が奏されます。曲は、Dream Come Trueの「やさしいキスをして」(歌、徳永英明)。はじめは小さく、だんだんとボリュームがあがっていきます)

場面は、3人の魔女の台詞から始まります。最初、舞台の背面をスクリーンにして月下美人の花弁がアップで映し出されたのが強く印象的でした。続いて針葉樹林と湖沼の風景が映し出され、その前で踊る魔女はその風景に溶け込んでいくような錯覚を感じさせました。

暗転してマクベス夫人がマクベスからの手紙を読む場面へと移ります。魔女からマクベス夫人に転じた林さんは、魔女の白い衣装から黒い衣装に着替えています。この手紙を読む場面から、ダンカン殺害の場面、そこではマクベスの台詞まで演じ、一挙にマクベス夫人が狂気の夢遊病に陥った場面まで進みます。

そして最後は再び3人の魔女が出会う場面へと帰ってきます。

その全体の構成がとてもよくまとめられていたと思いました。

このプレヴューの後、ワークショップが催されたのですが、子供たちは全員残って参加しました。

遊びのゲームを通して、言葉をいかに伝えるか、そしてその言葉をいかにとらえて返すかということのさわりのようなものですが、傍観者ではありましたが楽しんで、しかも参考にもなりました。

 

(12月6日(木)、荒川区ムーブ町屋 ムーブ小劇場、4Fハイビジョンルームにて)


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