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  オペラシアターこんにゃく座公演『オペラクラブマクベス』      No. 2007-022
 

オペラシアターこんにゃく座としては5作目のシェイクスピア作品。僕としては、こんにゃく座の舞台はこれが2回目の観劇で、シェイクスピア作品としてはこれが初めて。

観客席は、前列2列は二人がけの丸テーブルが1列に4つ。演目のタイトルに合わせてクラブのサロン風な雰囲気を持たせる趣向。僕の席はG列の3番で比較的前の方で下手寄り、もちろん普通の椅子席で、舞台から遠からず、程よく見える席。

その舞台であるが、漆黒のエナメルの光沢と質感のホリゾントは、そのガラスのような鏡面に観客席を映し出す。中央に、「CLUB MACBETH」と描かれた戸口がある。

開演とともに、パーカッションによる雷鳴と照明による稲妻の中、3人の魔女が「いつまた三人、会うことに」と呪文を唱えるようにして地面を這うようにしてうごめく。

そこへ、「CLUB MACBETH」の戸口の前に「男」(大石哲史)がやってくる。男は、クラブの給仕人(井村タカオ)によって、クラブの中に招じ入れられる。クラブの中では、『マクベス』が演じられている最中である。

それは実は「幻想の世界」。男は「現実の世界」から「仮想の世界」へと移行する。『マクベス』を観ていて、男は自分がその仮想世界に没入してマクベスを演じ始める。

男はマクベスを見ていて劇の進行中、色々と批評するが、実は自分の内面を鏡で覗いて見ているように感じられる。男は、誠実な人間ほど「罠」にはまると主張していながら、自分がその罠の世界にはまっていく。それが分かっていながら、その運命に逆らうことなく、男はマクベスとしてマクダフに倒され自滅する。それはあくまでも仮想の世界での出来事であったはずであるのに、である。

カンバンの時間になって店の給仕人が男を起こすが、男はうつぶせに倒れ付したまま起き上がらない。男は現実の世界に戻ることなく、仮想の世界に死んでしまったのだった。

クラブでヘカテを演じていた女性(岡原真弓)が、その男の妻がガス自殺をして亡くなったことを、クラブの案内人に告げて、「あとはよろしく」と言って帰っていく。

それは、その店でずっと繰り返されてきたことである・・・・

舞台の「男」と同様に、『マクベス』を見ながら、幻想の世界をさまようような舞台であった。

上演時間は、途中15分の休憩を挟んで、2時間半。

 

訳/小田島雄志、作曲・芸術監督/林 光、台本・演出/高瀬久男、9月10日(月)
( 三軒茶屋、シアター・トラムにて観劇)


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