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  子供のためのシェイクスピア・カンパニー 『夏の夜の夢』      No. 2007-017
 

座席番号はD19。最前列の中央の席で舞台を見上げる格好。しかし舞台の俳優の息づかいから表情までが空気伝染のように伝わってくる。
子供のためのシェイクスピア・カンパニーの『夏の夜の夢』は、楽しい、面白い、夏のお祭りだ!という気分にさせてくれる。シェイクスピアってこんなに面白いんだ、『夏の夜の夢』ってこんなに楽しいんだ、と思わせてくれる。
いつも感じることだが、このシリーズでは演じる俳優がまず楽しんでいる。その楽しい気分がそのまま伝わってくる。
これまでこのシリーズでは主にシェイクスピアを専門に演じる俳優を中心に組まれてきたが、最近では少しずつ異色の俳優を交えてきて、それが変化と新たな活力を作り出しているように思う。
今回のキャストの中では、座長の山崎清介(ヒポリタ/タイテーニア)、伊沢磨紀(ヘレナ/スナッグ)、戸谷昌弘(デイミートリアス/フルート)がシリーズの全作品に参加しており、佐藤誓(イージアス/クインス)が今回で10回目、福井貴一(シーシウス/オーベロン)と大内めぐみ(パック)が4回目、土屋良太(ライサンダー/スナウト)と山口雅義(ボトム)が2回目、そして初参加のキム・テイ(ハーミア/スターヴリング)。彼女のハーミアはこれまで見てきたハーミアとまったく違った印象で非常に新鮮な気がした。
いつもの人形は、「師匠」と「インドのカレー少年」の二人(?)登場。

始まりはいつもの黒いマントの衣裳に黄色のヘルメット姿で、セットの机を運んでくる。建築の工事現場で基礎工事終了の写真撮影。パックが登場し、エピローグの「われら役者は影法師」の台詞を前口上で語ってしまう。
いきなり物語りに入っていくのではなく、身近なところの場面のアドリブで注意をひきつけていて、しっかりと本筋の導入部へと入っていく。かなりデフオルメしたようでいて原作を忠実に守っている。
これもいつものことだが、少人数で複数の人物を演じるので、衣裳の早変わりが舞台のスピード感を感じさせる。

演出で目を引いたのが、タイテーニアやライサンダーが「惚れ薬」をかけられるとき、彼らは劇薬を盛られたように苦痛でもがく。タイテーニアなどは、苦痛で両手の指が物を?むような格好で硬直したままとなる。「惚れ薬」は自分の意思にそむかせるものであり、それだけに強い副作用を伴うというようなことを表意しているようにも思える。

パックにロバにされたボトムが歌うのは黒ツグミの歌ではなく、「千の風になって」の歌。といってもここでは秋川雅史のレコード吹き替えにあわせて、口をパクパクさせるだけ。今回この「千の風になって」がテーマ曲となって所どころで出てきて楽しませてくれる。極めつけは、アテネの職人たちによる「ピラマスとシスビー」の悲喜劇の後で道化踊りに代えてこの歌が歌われるところ。
いたるところに「遊び」があって少しも飽きる暇がなく、楽しい宵のひと時を過ごした。

上演時間は途中15分間の休憩を挟んで焼く2時間20分。

(脚本・演出/山崎清介、7月20日(金)、東京グローブ座にて観劇)


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