観劇日記 あーでんの森散歩道 高木登
 
  劇団昴公演・No. 213 『夏の夜の夢』               No.2006-022

 いくつかの特徴をあげると、まず舞台美術が印象的である。
 演出の三輪えり花自身による美術だが、シルバーカラーの円形の舞台に、背景に8本の円柱。
 円柱はシーシアスの宮廷の柱や、アセンズの森の木々を表象する。
 ライサンダーとの結婚を父親に反対されたハーミアが短剣で自殺をしようとするが、その勇気があれば二人で駆け落ちをしようともちかける。剣で自殺を図ろうとする演出を見るのはこれがはじめてであった。
 パックとフイロストレートを平田広明が二役演じる趣向もはじめてみるが、これも面白いと思った。
 プログラムの上演記録をみると、これは三輪えり花の独創ではなく、91年の昴第56回公演で、菊池准演出のとき、牛山茂役でなされている。
 妖精の衣装はオーベロン、タイターニアも含めてすべて純白。
 インドの少年は大人の俳優、しかも丸々と肥えている。タイターニアはロバの頭をしたボトムに惚れ薬のせいで恋をした時点で、インドの少年をすでに放棄している演出。
 いろいろ斬新な工夫を試みているが、全体的に退屈な演出であった。
 特に前半は眠くなるような進行であった。
 出演/金尾哲夫(シーシアス/オーベロン)、松谷彼哉(ヒポリタ/タイターニア)、平田広明(パック/フィロストレイト)、小山武宏(イジアス)、岩田翼(デメトリアス)、中西陽介(ライサンダー)、湯屋敦子(ヘレナ)、米倉紀之子(ハーミア)、牛山茂(ボトム)、仲野裕(スターヴリング)、北川勝博(スナッグ)、やなせさとる(ピーター・クインス)、西村武純(スナウト)、奥田隆仁(フルート)、他
 上演時間、途中15分の休憩をはさんで2時間45分

 

訳/福田恆存、演出・美術/三輪えり花
10月9日(月)14時開演、三百人劇場、チケット:4900円、座席:9列16番


 

>> 目次へ