観劇日記 あーでんの森散歩道 高木登
 
  シェイクスピア・シアター夏公演 『から騒ぎ』          No.2006-015

 2004年の10月にこの『から騒ぎ』を観ているのだが、すっかり忘れていた。しかし、黒いソフト帽をかぶって斜めに構えたニヒルな感じで車いすに乗ったドン・ジョン(橋本慎吾)を見てすぐに思いだした。
 そこで前回と今回のキャストを見比べてみると、ベネディックの平澤智之は変っていないが、ベアトリスが原智美から島小百合(前回はヒーロー役)に変わっている。
 その時の観劇日記に、ベアトリスを島小百合が演じていたら平澤智之と「完全な対をなしていただろう」と記していたが、現在のメンバーからすると、ベアトリス役は島小百合が最善のチョイスだと思う。
 島小百合から変ってヒーロー役を務めた住川佳寿子も、ベアトリス役の島小百合とのマッチングという点では釣り合いがよく取れていて、そのバランスも良かったように思う。
 前回クローディオ役を演じた松本洋平は、今回はドグベリー(前回は石渡匠)を演じ、レオナート役が山崎泰成から松木良方に変わっている。
 ほかにもキャストの入れ替わりが多々あったが、前回レオナートを演じていて、最近としてはかなり長い間シアターに所属していた長身の山崎泰成の名前が出演者リストから消えていたのが気になった。決してうまい役者とはいえず、器用でもなかったが、その生真面目さが心に残る役者であった。
 シアターについてはかれこれ10年以上見続けているが、出口典雄スクールで成長していく彼らを見るという楽しみもあるのだが、その間にかなりの入れ替わりがあって、いつの間にかその名前が消えてしまっているのを見ると少し淋しい気もし、残念でもある。

 

訳/小田島雄志、演出/出口典雄
6月6日(火)18時30分開演、俳優座劇場、チケット:3500円、座席:5列7番


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