東京シェイクスピア・カンパニー(TSC)の設立15周年の記念すべき公演である。そのせいか、今回は出演者も総勢12名と、客演を含めていつもの公演より数が多かった。
このカンパニーの中心的俳優である牧野くみこが詩人ガワーを務め、井手泉がペリクリーズを演じた。
ペリクリーズの妻タイーザと淫売宿のおかみの両極端を演じるつかさまりは、どちらかといえば淫売宿の女将の方が役柄として面白みがあった。
今回の演出は、これまでこのカンパニーで見てきた作品に較べてオーソドックスな仕立てで、丁寧な造りであるといえるが、半面意外性に乏しく面白みに欠けていたように感じた。
翻訳・演出・製作総指揮/江戸馨
9月15日(木)19時開演、シアターX(かい)、チケット:4200円、座席:C列2番
【追 記】
ずいぶん時間が過ぎてからのことであるが、今回の感想についてはじめて修正を感じた。
この舞台を思い出すたびに、牧野くみこのガワ―や、場面のところどころを思い出しては、自分の鑑賞力の貧しさを反省した。もっとしっかりと克明に記録を残しておくべきであったと思っている。
意外性に乏しいと感じたのは、この『ペリクリーズ』は江戸馨のオリジナルでの訳による「表」のシェイクスピア劇で、これまでTSCの公演では「鏡の向こうシリーズ」しか観てきていなかったせいであろうと、今にしては思う。
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