観劇日記 あーでんの森散歩道 高木登2005
 

2005年の「シェイクスピア劇回顧」と「私が選んだベスト3」

●2005年のシェイクスピア劇観劇数と回顧
 2005年の観劇日記の数はわずか14本しかないが、観劇数は全部で25本となっている。
観劇しながらも観劇日記から洩れているのは、

1. 劇団昴公演 ゴンザーゴ殺し』(ネジャルコ・ヨルダノフ作、菊地准演出、1月、東京芸術劇場・小ホール)
2. 流山児事務所・日韓交流2005年ワークショッププロジェクト公演 『ハムレット』(玄志勲構成・演出、2月、SPSCE 早稲田)
3. 演劇ユニット・トレランス公演 『BROKENマクベス』(上杉祥三作・演出、3月、紀伊國屋ホール)
4. ASC第30回公演 『リチャード三世』(小田島雄志訳、綾乃木嵩之演出、5月、銀座みゆき館劇場)
5. シェイクスピア・シアター30周年記念公演 『間違いの喜劇』(小田島雄志訳、出口典雄演出、5月、俳優座劇場)
6. 幹の会+リリック プロジェクト公演 『冬物語』(小田島雄志訳、平幹二朗演出、6月、紀伊國屋サザンシアター)
7. 子供のためのシェイクスピア公演 『尺には尺を』(山崎清介脚本・演出、7月、紀伊國屋サザンシアター)
8. 演劇ユニット・トレランス公演BROKENハムレット』(上杉祥三作・演出、7月、新宿・シアターモリエール)
9. オックスフォード大学演劇協会(OUDS)来日公演 『間違いの喜劇』(8月、東京芸術劇場・小ホール)
10. シェイクスピア・シアター30周年記念公演 『十二夜』(小田島雄志訳、出口典雄演出、10月、俳優座劇場)

 2005年を通じてみたとき、私が観る機会を得たシェイクスピア関連の作品は全体的に低調な感じがする。特に前半は上演の本数が少なく物足りない気がした(観劇日記として記した数も少ない)。
 今年はシェイクスピアを専門に上演しているいくつかの劇団が〇〇周年という記念すべき年を迎えている。
 なかでも、シェイクスピア・シアターが30周年を迎え、春の公演には『間違いの喜劇』、『冬物語』、そしてオリジナルの『エビス訓』の3作品を一挙上演し、秋には『夏の夜の夢』、『十二夜』とオリジナル作品『シェイクスピア・リハーサル』の3作品を上演した。
 江戸馨主宰の東京シェイクスピア・カンパニーが10周年記念で、記念公演として『ペリクリーズ』を上演し、アカデミック・シェイクスピア・カンパニーが10周年で、4人の俳優で演じる四大悲劇の第4弾として『マクベス』を上演。
 今年の不満を一挙に吹き飛ばしてくれたのが、12月のRSC来日公演、グレゴリー・ドーラン演出の『夏の夜の夢』。新たな伝説を作り上げたと言っても過言ではない、素晴らしい演出であった。
 シェイクスピア劇関連の話題作としては、井上ひさし作、蜷川幸雄演出の『天保十二年のシェイクスピア』が筆頭にあげられる。

 

●私が選んだ2005年のベスト3

1. RSC来日公演、グレゴリー・ドーラン演出の『夏の夜の夢』
群を抜いての圧倒的1位。
2. 幹の会公演、平幹二朗演出・主演の『冬物語』(再演)
前田美波里のハーマイオニが何度観ても素晴らしい。
3. りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ、栗田芳宏演出の『冬物語』
言霊と様式美の融合。
特別賞として、横浜シェイクスピア・グループ公演の英語劇 『お気に召すまま』
英語の台詞力だけでなく、表現力にも感心した。

 

●シェイクスピア関連のベスト5

1. 井上ひさし作、蜷川幸雄演出の『天保十二年のシェイクスピア』
かつての東映の正月映画の人気俳優勢ぞろいを思わせる豪華キャストで、待ちに待って恋焦がれていた作品の上演ということで、その敬意を表してトップに。
2. 劇団昴公演、ネジャルコ・ヨルダノフ作 『ゴンザーゴ殺し』の再演
再演であるが、新たな気持で新鮮に観ることができた。
3. 遊園地再生事業団#15+ニブロール公演の『トーキョー/不在/ハムレット』
強烈なポエジーを感じさせる実験劇。
4. 演劇ユニット・トレランス公演の『BROKENマクベス』
時代背景のユニークさが面白い、しばし万葉集の世界にひたる。上杉祥三の想像力と創造力に感歎。
5. ク・ナウカ公演の『夢幻能なオセロー』
上野国立博物館の日本庭園の特設舞台で、シェイクスピアの夢の世界に酔う。

 

●映画で見るシェイクスピア

 マイケル・ラドフォード脚本・監督の『ヴェニスの商人』。アル・パチーノのシャイロックが見もの。

 

 
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