ローマ史劇四部構成として『ジュリアス・シーザー』と『アントニーとクレオパトラ』の2作品を4日間、6ステージで連続上演。
初日16日(木)夜に『ジュリアス・シーザー』、2日目の17日(金)夜に『アントニーとクレオパトラ』を上演し、18,19日の土、日はこの2作品を昼夜連続して上演。
第1部を『シーザー暗殺』、第2部を『ブルータス&キャシアス VS アントニー&オクテーヴィアス』、第3部を『第二次三執政官 VS ポンぺー』、第4部を『ローマ VS エジプト』と分けて、壮大なドラマを展開。
そのスケールの大きさを東京芸術劇場・小ホールの劇場構造を十二分に活用して、舞台を中央花道・三方客席として、正面や側面のギャラリーを二階舞台に使用し、舞台展開のスピード感を高めた。
市民劇団として、プロの劇団とは異なった味わいを毎年楽しみに観ているのだが、今回はさすがに2作品の台詞の量に押されて、台詞の乱れがかなり目立った。
調布市民劇団センターからの客演、山根久幸のジュリアス・シーザーが威風堂々とした趣きを備えていたのが印象的であった。
見せ場の一つであるブルータスとアントニーの追悼演説は、ブルータスの演説を二階のギャラリーで、アントニーの演説を平舞台でさせているのが効果的であった。
『アントニーとクレオパトラ』の部では、下田裕子が未熟なみずみずしさを感じさせながら、円熟のクレオパトラを演じたのが好印象であった。
この劇団ベテラン鈴木吉行はブルータスと宦官マーディアンを演じ、長老の岡本進之助が占師と道化を演じてその健在ぶりを見せてくれた。
今回は常連の今井良春(劇団胎動)はじめ、客演がかなりあった。
『ジュリアス・シーザー』は別にして、『アントニーとクレオパトラ』となると、日本では観ることが稀であったので、それだけでも一見の価値がある。とはいうものの、惜しむらくは、演出を兼ねる遠藤栄蔵のアントニーが後半の部で冗漫に流された感じであったのは残念であった。
13年間続いてきた東京芸術劇場でのシェイクスピア公演も、東京教育委員会との共催である「TOKYO・リージョナル・シアター・フェスティバル」が、東京都の「文化行政の一本化」の名目で、生涯学習・地域文化振興事業を打ち切ったため、この演劇祭の継続が不可能となったというお知らせには、政治行政への強い憤りを感じた。
『ジュリアス・シーザー』、小田島雄志訳、遠藤栄蔵演出
1月16日(木)18時30分開演、東京芸術劇場・小1,チケット:3000円、全席自由席
『アントニーとクレオパトラ』、小田島雄志訳、遠藤栄蔵演出
1月17日(金)18時30分開演、東京芸術劇場・小1,チケット:3000円、全席自由席
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