高木登 観劇日記
 
  ASC第24回公演 『十二夜』 No.2002-14

〜 「あなたはだれかを思いやっていますか」 〜

 アカデミック・シェイクスピア・カンパニーの代表で演出者である彩乃木崇之は、シェイクスピアとの取り組みに常に新しいテーマ性を追い続けている。今回の『十二夜』は、「思いやり」をテーマとした演出である。1時間45分という短縮された上演時間の中で、道化フェステを5人で演じさせることによってコーラスの役目を担わせる効果を生み、濃縮された舞台効果を作り上げている。開演までの観客の客席案内をその5人の道化、フェステが務める。菊地一浩のマルヴォーリオが、顔面の表情を豊かに演じて熱演。ヴァイオラの鈴木麻矢、オリヴィアの那智ゆかりの競演が光る。1時間45分と凝縮された上演時間ながら、濃縮された味わいがある。

(訳/小田島雄志、演出/彩乃木崇之、銀座みゆき館劇場、6月10日夜観劇)


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